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    短編小説

~今日の放課後~


キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、今日一日の学校生活が終わった。
「おーい。和仁(かずひと)遊ぼうぜ。」
雅也(まさや)が話しかけてきた。雅也とは、昔からの親友でよく遊んだりしているのだ。
「じゃあ他にも何人か誘おうぜ。」
俺が雅也にそういうと、雅也はわかったと頷いて去っていってしまった。
ちなみに俺たちは、今年で小学6年生になった。最近の悩みはランドセルを背負うのが恥ずかしいことにあったりするのだが・・・・・・・。
「おーい、何人か集まったし遊びに行こうぜ。」
雅也が戻ってきてそう言った。
「えっ?・・・・このメンバーで遊ぶのか?」
「ん?なに、嫌なのか?」
雅也が不思議そうに言う。
嫌というか・・・・メンバーは、最凶だ。まず、昔からの友達の朝彦(あさひこ)。彼は、PCマニアなんだが、頭がやたら良いせいか、他の奴らに無駄な知識を与えてしまう。いわばトラブルの素を作る役だ。次に、睦美(むつみ)だ。彼女は天然過ぎる天然だ。つまりバカ。彼女はいわばトラブルメーカー。トラブルを起こす役だ。そして雅也。雅也はトラブルを強化する役だ。睦美が作ったトラブルを大きく育てていくのだ。・・・・そんな奴らがそろって遊んだら、事件が起きてしまうこと必至。
「また次の機会にしないか?せっかくの放課後だし。」
「なにいってんの。早く遊びに行くよ。」
睦美は遊ぶ気満々だ。他の奴らも遊ぶ気で満ちている。俺の言葉は誰にも届かず天に昇って言った・・・・・・。
「じゃあ、・・・遊ぶか。」
俺は嫌々、本当に嫌々遊ぶ事にした。




とりあえず俺たちは校庭に来ていた。
「で?何して遊ぶんだ?」
俺はこの際楽しむ気で聞く。
「そうだねぇー、何する?」
「かくれんぼとかは?」
俺の言葉に睦美がそれを繰り返す。そして、雅也が意見を述べた。
「ぇえー、かくれんぼなんて、今時風じゃないじゃん。」
今時風ってなんだよ。てか小6にもなってかくれんぼもないだろうに。
「じゃあどんなのが今時風なんだよ。」
雅也が睦美の言葉に突っかかった。まぁ確かに、俺も今時風ってのがどんなんか知りたいな。
「忍者ごっことか、バドミントンとか、今時風じゃない?」
「あっ、皐月(さつき)ちゃん。」
でた、皐月だ。皐月は睦美の天然に拍車を掛ける奴だ。つまりは天然に対応するバカ。
てか、忍者ごっこと、バドミントンのどこが今時風なんだ?それに、二つがまったく共通性がない。絶対適当にいったな、皐月め、これ以上馬鹿をあおるな。
「忍者ごっこに・・・バドミントン?面白そうだけど、どこが今時風なの?」
そうだ。よく言った雅也。絶対に今時風じゃないぞ。
「う~ん、よくわかんない。」
「ぇえー、今時風じゃないの?」
二人のバカ、つまり睦美と皐月がそれぞれに答えた。
「じゃあさぁ、どんなのが今時風の遊びなのかなぁ?」
「俺も少し気になるなそれ。」
睦美の言葉に、雅也が同意して言う。俺的には、何でも良いからいい加減遊びたい。
「その兼ですが、僕がPCで調べてみました。」
出た!PCマニア。朝彦のこの一言が、いつもトラブルの発端になるんだよな。
「待ってました博士。」
皐月が嬉しそうに、楽しそうに、眼をギラつかせて言う。
「僕の調査によりますと、今時の若者はゲームと言うものをするそうです。」
「へぇー。」
いや、お前ら世間知らずの御年寄りか!?ゲームくらい知ってるだろ。今時も何も、何年か前には世の中の10人が10人ゲームをしてるぞ。今更、今時も何もないだろ。
「ゲームかぁ・・・今時風だね。さっそく和仁の家にいってやろうぜ。」
「何で俺の家なんだよ。」
やっぱ、バカにかかわらない方がいいな。ゲームで納得するとは・・・・・・。
「早まってはいけません!」
なんだ。朝彦が叫ぶなんて・・・・・トラブルが大きく育つじゃないか。やめてくれ。
「なになに?」
みんなが朝彦の次の言葉を待つ。俺は耳を塞ぎたいよ・・・・・・。
「ただ一言にゲームと言っても、今の世の中たくさんのゲームが存在します。その中で、今風というのは・・・・・・カードゲームです!カードゲームこそが今時風の遊びの頂点に君臨するはず!」
朝彦の言葉に全員が驚きの表情をして、次の瞬間カードゲームを買いに走っていた。
バカだ・・・・世界で一番馬鹿だろう。今時風では確実にない。カードゲームは確かに小学生の中で流行っている。俺も一度買った事がある。しかし、決して今時風ではない。
そんな俺の考えも虚しく、みんなカードゲームを嬉しそうに買っていた。
「よし、さっそくやろうぜ!」
雅也が眼を輝かせてカードゲームが入っている袋を開けた。
それに続いて、みんな袋を開けていく。
「では、カードゲームを開催します。」
皐月がマイクを持つふりをしながら言った。
「おぉーっと雅也が妙なモンスターが描かれたカードを出した。それに睦美はどう対処するのか!」
皐月がなぜか解説をしている。このカードゲームには、プレイヤーのライフというのが決められていて、それがゼロになると負けらしい。
「・・・・・この、攻撃力ってさぁ、なんだろうね。」
うわぁ・・・睦美の天然が始まった。そろそろやばいか?
「・・・・・確かに、なんだろう。」
皐月が睦美の疑問に、解説も忘れて一緒に考え始めた。
「・・・・・ほら、たまにゲーセンとかで見かけるパンチの威力を測るゲームの点数みたいな奴じゃない?」
雅也が言う。ていうか、ありえねーだろそれは。
「なるほど。そうすると、このモンスターはパンチ力2000か。凄く強いんだね。」
睦美が言う。馬鹿だろ。ありえないっつーの!
「うわぁ、殴られたら即死だね。とてもじゃないけど耐えられない。」
皐月が顔を引きつらせて言う。馬鹿馬鹿馬鹿。違うって気づけよ。
「それは、戦闘能力じゃない?ほら、例えば剣道8段とか空手5段みたいなやつ。」
朝彦が言う。・・・・それも違うだろ。まぁさっきよりはマシか。
「なるほど!さすが博士。」
納得するなや。
「・・・じゃあこの防御力ってなんだろ。」
「あらたな疑問だな。」
睦美の言い出した疑問?に全員が唸って考える。馬鹿は苦労するね。
「そうか!これは防弾チョッキを着てるか着てないかだ。」
違います。それなら数値にする意味がないでしょうに。
「いや、それはない。数字で書かれている説明ができないよ。」
皐月が否定した。皐月もさすがに、その辺はわかっているらしい。
「いや、数値は着ている防弾チョッキの枚数だよ、きっと。」
「そうか!そいつは恐ろしい。こやつは防弾チョッキを1500枚も着ているのか!」
馬鹿アホマヌケ。そんな馬鹿な話しがあるか!睦美も言う前に考えろよ。そして納得するなよ皐月。
「これはたぶん・・・防御技術のレベルの高さじゃないか。例えば武術の受け流し系の技の得意度とかさぁ。」
「なるほど!それっぽいな!」
朝彦・・・違うぞそれは。でもさっきよりマシだ。
「でも、ただカードを出して、勝った負けたじゃつまらないね。こんなもんなのカードゲームって。」
「もしかしたら裏世界だけの使い方があるとか。たとえば手裏剣みたいに使うとか。」
「そうか!それでプレイヤーにライフがあるのか!」
「そうとわかれば。」
馬鹿4人集がアホなことを言い出して、カードを投げて遊び出した。俺はついていけないぞ、このテンションに。
ガシャーン!!
ガラスを割ったようです、はい。
「ぁあ!カードがガラスを割ったぞ!」
「まさに手裏剣を凌駕する威力だ!」
「こんな技がこの世にあったとは!」
「ふふん。忍法、5枚カード手裏剣の術。」
馬鹿どもが!ガラス割って、喜んでるんじゃねぇーよ!ていうか・・・・・・
カードでガラス割りやがった。ありえない。カードでガラスを割るなんて聞いた事ないぞ。
「・・・・・・とりあえず逃げとこう!早く逃げるぞ。」
俺が馬鹿4人を促して、とりあえず逃げた。
そして、今は俺の家に集まっている。
「あー、面白かったね。」
睦美が笑いながら言う。無責任だ。
「うん。さすが今時風な遊びだね。」
皐月も笑いながら言う。だから今時風じゃないって。
「流石に満足だな。」
雅也が満足げな顔で言う。いや・・・たぶん明日先生に怒られるぞ。満足するなよ。
「まぁ、僕の調査に間違いはないよ。」
朝彦が言う。間違いです100%ね。


そしてその後、朝彦のPCでの調査で、今時風といいつつまったく今時風じゃない遊びを次々と繰り広げた。
正直、馬鹿の相手は辛いと心底思った一日だった。
はぁ・・・小学生は辛い・・・・・。


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