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    短編小説

~小さな小さなクリスマスの物語~

シャンシャンシャン・・・・・
シャンシャンシャン・・・・・
夜空の遠くで鈴の音が響いている。
その鈴の音を響かせているトナカイは、夜空を軽快に走っていた。
鈴の音を響かせて走るトナカイは、赤い鼻を自慢げにヒクヒクとさせてご機嫌に走っている様子だった。
そして、赤鼻のトナカイが引くソリには大きな白い袋がつまれていた。
そこまでくれば、そのソリに乗るのは白ひげのおじいさんと思うだろう。
しかし、そのソリに乗っているのは、おじいさんではなくサンタの服装をした一人の少女だった。
その少女はソリの紐を上手に操り、夜空をトナカイのソリで軽快に駆け抜けていた。
「・・・・えーっと、次に行く家はこの先の赤い屋根の家か。」
サンタの格好をした少女は、携帯のような形をした機械の画面を見て呟いた。
「おーい、トト。着いたみたいだよ。」
赤い鼻をしたトナカイが、サンタの格好をした少女、トトに言う。
「やっと990件目だよ・・・。まだまだ行くとこいっぱいだよ。」
トトはブツブツと愚痴りながらソリから降りる。
そして、何度かキョロキョロと周囲を見る。
「この家もエントツないんだ。」
「最近の家にエントツを求めちゃダメだよ。」
トトの言葉にトナカイが苦笑して言う。
そんなやり取りをしているうちに、トトは家の窓の前に来ていた。
「・・・・・・まただ。年々、家の防犯昨日が強化されてて家に入るのも一苦労だよ。」
トトは愚痴りながら言う。
「またあれをやるしかないね。」
トナカイは苦笑して言う。
「はぁ・・・しかたないか。あれは疲れるんだけどなぁ。」
トトはそういうと、人差し指を立てて空中に小さく十字を書いた。
「十神一式、物体通過。」
トトはそういうと、そこには何もないかのように壁をすり抜けて家の中に侵入した。
「あっ、待ってよトト。」
トナカイもその後に急いでついていく。
家の中に入ると、そこにはクリスマスパーティーで疲れたのか、気持ち良さそうに寝ている子供がいた。
「えっと・・・この子へのプレゼントは最新のゲーム機だっけ?」
トトはそういうと、大きな白い袋から綺麗に包装された一つの箱をだした。
ベッドの横にある靴下に箱を静かに入れると、トトは一度軽く堰をして言う。
「メリークリスマス。良い夢を。」
それに続いて、トナカイもトトの言葉を繰り返す。
「よし、次の家に行こうか。」
トトはそういって、また壁をすり抜けてソリのところに戻った。
「次はここから少し離れた青い屋根の家だよ。」
トナカイはそういうと、空を軽快に走りだした。



「はぁ・・・今年のクリスマスも雪は降らないのか。」
「残念ね。」
腕を組んで町を歩く男と女が空を見て呟く。
「・・・・サンタが本当にいるならプレゼントはいいから雪を降らしてほしいな。」
男は微笑しながら言う。
「サンタは神様じゃないよ。天気を操れるわけないでしょ。」
女は男の言葉に笑いながら言う。
トトにはその言葉が聞こえたのか、トトは男と女の方を見てソリを止めた。
「はぁ・・・どうかな俺には雪を降らせるのがプレゼントとか言ってもダメかな?」
男はまた空を見て言う。
「だからサンタは神様じゃないんだよ。」
女はもう一度笑って言う。
「・・・・あの男は今年も悪い事はしてないのか。」
トトは白い袋をあさって、ファイルを取り出してその中身を見ながら言う。
「なに?雪をプレゼントする気?」
トナカイはトトを見て言う。
「まぁたまには奮発したプレゼントもいいかなって。」
トトはそういうと、人差し指を立てて空中に十字を書いた。
「十神二式、天候変換。」
トトがそう言って、人差し指を天高く突き上げると、空から雪が降り始めた。
「・・・・・うそ!凄い。本当に雪が降ってきた。」
女は思いっきりはしゃいだ声で言う。
「はは。本当にサンタがいたりして。」
男もはしゃいだ様に言う。
「メリークリスマス。よい夢を。」
トトは男と女の方を見て、呟いた。
トナカイもそれを繰り返して言った。



「トト。あの青い屋根の家じゃない?」
トナカイはそういうと青い屋根をめざしてソリを走らせた。
「間違いなさそうだね。」
トトはそういってソリを青い屋根の真上まで走らせた。
「またエントツはなしか。」
トトはそういってソリを降りた。
「そして厳重な鍵と防犯装置。」
トナカイは苦笑して言う。
「はぁ・・・。十神一式、物体通過。」
トトはそう言って指で十字を書き、壁をすり抜けていった。
「さてと・・・この子のプレゼントは・・・」
トトは白い袋の中をあさりながら呟く。
「・・・・だれ?もしかしてサンタさん?」
唐突に子供の声がする。
「トト!この子起きてるよ!!」
トナカイが焦ったように言う。
「しまった!今時の子供はサンタなんか信じてないから夜遅くまで起きて、サンタを待つなんてしないという固定概念のせいでミスを!!」
トトは頭を抱えてブツブツと言う。
「トト、話しが長いよ。・・・じゃなくて!どうするの!?」
トナカイが焦ったように言う。
「ぁあ、メンドクサイ!十神三式、催眠音波。」
トトは子供に向けて手のひらを突き出す。
「なるほど、寝かせて夢だと思わせる作戦か!」
トナカイが感心したように言う。
「・・・・・寝ない・・効かないみたい。」
トトは苦笑して言う。
「・・・・そんなことあるわけが。」
トナカイは驚きを隠せずにいた。
「いや・・・たまにいるんだよ。十神聖道が効かない子供が。」
トトは困ったように苦笑いして言う。
「もう!しかたない。」
トトはそう言うと、ポケットから紙切れを一枚だして子供に渡した。
「どうも。X‘mas総合協会から来たサンタ№001010です。」
トトはそういってお辞儀をする。
「・・・・よくわからないけどやっぱりサンタなんだ!」
こどもははしゃいだ様に言う。
「そうだよ。本物のサンタだよ。はい、プレゼント。」
トトは笑顔で言うと、プレゼントを渡した。
「じゃあこれで。」
トトはそういって去ろうとする。
「まって!サンタさんのソリに乗せてよ!」
子供は眼を輝かせて言う。
「何おう!トトのソリに乗るなんて十年早い!」
トナカイが子供に向かって言う。
「・・・・・なんで?」
子供はトナカイが喋った事に驚いた後に不思議そうに言う。
「でも良い子は寝る時間だよ?」
トトは笑顔で言う。
「私、良い子じゃなくていいからサンタさんのソリに乗りたい。」
子供は頬を膨らませて言う。
「そう。でも良い子じゃないなら来年からはプレゼント持ってこないよ。それでもいいの?」
トトはさらに笑顔で言う。
「・・・・・それはヤダかも。」
子供は困った顔で言う。
「じゃあもう寝ないとね。」
トトは優しい声で子供に言う。
「・・・・・・・うん。私もう寝る。だから来年もプレゼント持って来てね。」
子供は残念そうな顔をしてベッドに潜った。
「約束するよ。」
トトは頷いて言う。
「じゃあ、メリークリスマス。また来年。」
トトは笑顔でそう言うと、壁をすり抜けようとする。
「あっ!サンタさん。お名前は?」
子供はトトの方を向くと言う。
「サンタ№001010。トトだよ。」
トトは笑顔で言う。
「プレゼントありがとう。サンタのトトお姉ちゃん。」
子供はそう言うとユックリと目を閉じて眠りについた。
「よい夢を。」
そう言ってトトとトナカイは壁をすり抜けていった。
「子供に一度も大声を出されないなんて流石はトトだね。」
トナカイは何故か自慢げに言う。
「たまたまだよ。」
トトは笑いながら言う。
「あと8000件、さっさと終わらせちゃお。」
トトがそう言うと、トナカイはソリのスピードを上げた。
そして、空に鈴の音色が響き渡る。
そんなこんなでクリスマスイヴは少しずつ終わりを迎えて、夜明けを迎える。
夜明けとともに、町には子供の嬉しそうな声が響き渡る。
そして、クリスマスはユックリと、でもはやばやと過ぎていく。
メリークリスマス。
そんな言葉を頭に残して。


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