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    長編小説

~Anoyher World~


時は幕末といわれる、侍と侍が己の思いを互いにぶつけ合った時代。
人々は日々の血の雨に怯えながらも刀を持ち、己を必死に守ろうとする。そうでないものも、弱肉強食に従い己を守ろうとした。
そんな中、一人の男が茶屋で一時の休息をとっていた。
「ふぅ・・・今日は平和だなぁ。」
僕は空を見上げて軽く溜息をついた。
いつもなら馬が大急ぎで走り抜けるのを見る時間帯だけどそんなものはまったく感じられない。僕は今の平和が続くことを祈る限りです。
「ババァ!いい加減払うもん払ってもらおうか!!」
一人の怖そうな男性が、店のものを蹴りながら入ってきた。
僕はもう平和が終わったかと思うと頭が痛くなります。
「もう少し、もう少しだけお待ちくださいませ。」
お店の店主と思われるお婆さんが必死に訴えている。僕はそれを見て少し可哀想に思えてきた。
「・・・・・ウルサイなぁ。人が団子の美味に酔いしれてる時に叫ぶなゴリラ。」
ぇえ!?どなたか存じませんが、あんな強そうな方になんてだいそれた事を言うんですか。もし気にでも触れたら斬られますよ・・・。
僕は銀髪の男性、僕と同じ歳くらいの方に心の中で忠告する。
「誰だてめぇ!殺されてぇーのか。俺は天神一刀流(てんしんいっとうりゅう)の本田様だぞ、聞いたことくらいあんだろ?わかったら黙ってろ。」
ぁあ、あの有名な本田さんですか。今、この辺でもっとも強いと有名な・・・。というか・・・口を挟んだ方は昼寝しはじめてらっしゃる!いや・・・相手はあの本田さんですよ!死にますよあなた・・・。
「・・・・ほぅ、そんなに死にてぇーのか。」
ほら、本田さんがお怒りだ。
「いや、死にたくない。」
いえ・・・あなたがそんな事を訴えても、その格好じゃあ喧嘩うってるとしか思えません。せめて起き上がって言いましょう。
「・・・・てめぇー、舐めてくれるじゃねぇーか。」
あわわ・・・ついに刀を抜いてしまわれた。
「あの、ちょっと・・・お金を請求におられたのでは?」
僕は必死で、喧嘩?というか本田さんのお怒りを止めようとした。なぜこんなことをしたかというと僕の前で血の雨を降らせないためです。
「ぁあ、テメーも死ぬか?」
はぁ・・・僕も怒りに触れたみたいです。僕の考え違いでした。この方は自分の感情に全てを任せる性格だったんですね。
「・・・おい!てめぇー可愛いな。ちょっと来いや。」
いえ、僕は男です。なんで見間違えるんですか?刀だって帯刀してますよ。
「早く来い!殺されてぇーか!」
「あっ、はい。すいません。」
だから男なんですってば!もう・・・嫌になります。
「そこの銀髪。こいつの命が惜しくば、刀を置いてこっちに来い。」
ぇえ!?そんな卑怯な・・・。僕はまた失敗をしてしまいました。おとなしく捕まらずに抵抗するべきでした。
「いや、惜しくないし興味ない。」
はぃぃぃ!?この状況下でなんて酷い人だ!というか悪魔だ・・・人の心がなさすぎ!
「・・・・お前、その辺にしとけよ。」
今度は銀髪の方の隣に座って黙っていた方が口を挟んできました。とても体格のいい人なのでちょっと期待できます。
「え、なに?龍魔やる気なの?」
銀髪の方がなにやら楽しそうに言ってます。
「お前なぁ、あそこまで状況を悪化させといてトンズラする気か?」
龍魔と呼ばれる方が苦笑しながら言ってます。なにやら助けてくれる気みたいです。ですが、相手は天神一刀流の本田さんです。
相手が悪すぎですよ、龍魔さん。
「なんだ?やる気か。瞬殺してやろうか?」
本田さんがニヤニヤと笑いながら言ってます。・・・・そして龍魔さんは聞いてません。銀髪の方と・・・ジャレあってます。
「神児お前なぁ、弄るだけ弄って後始末を俺にさせるなよな!」
「後始末ってダルイしメンドイしつまんないもん。」
銀髪の方、なにやら神児さんというらしいです。その方がメンドくさそうに言ってます。てか神児さんは本気で悪魔みたいです。
「・・・ほう、この俺様を無視するか。・・・死ねぇー!!」
ぁあ、本田さんがついにキレて神児さんと龍魔さんに飛び掛ってしまった。
僕はついつい眼を瞑って手で覆い隠してしまいました。というか、この状況ならみんながそうしたでしょうに・・・。
僕は頃合を計って眼を開けた。そして驚きました。斬られて倒れていたのは、本田さんのほうでした。いったいどういった状況でこんな事になったのでしょうか・・・。
「ふぅ・・・あんた弱いな。俺に喧嘩うるなら今の一億倍は強くなってからにしろ。」
龍魔さんが倒れている本田さんを見下ろしながら言う。なんかかっこいいです。
「安心せい。嶺打ちじゃ。」
「てかお前は何もしてないだろ!」
・・・神児さん・・・最悪です。
「大丈夫か?」
「えっ、はい大丈夫です。」
龍魔さんが話しかけてきました。僕はちょっとビックリして返事が遅れてしまった。
「でも強いんですね。」
僕はとりあえず思ったことを言ってみる。
「強いも何もこいつは十羅刹鬼流殺人剣(じゅうらせつきりゅう)の使い手だぞ。」
「・・・・聞いたことのない剣術ですね。てか・・・殺人剣って・・・。」
とりあえず龍魔さんは相当強いんですね。
「とにかく助かりました。ありがとうございます。」
僕は龍魔さんにだけお礼を言う。
「どういたしまして。困った時はお互い様だな。」
いや、神児さんには言ってません。
「でも、自分でなんとか出来たんじゃないのか?お前の帯刀してる刀、バルムンクだろ。そんなたいそうな刀持ってて弱いわけないだろ。」
龍魔さんが僕の刀を指さして言う。
「いや・・・まぁ、そんな強くないですよ。」
僕はとりあえず愛想笑いで誤魔化してみる。
「なるほど。お前もめんどくさがりだねぇ。」
いや、神児さんと一緒にしないでください。メンドくさがりは神児さんだけです。
「そのメンドくさがりっぷり、気に入った。お前も俺の旅について来たまえ。」
神児さんがなんかおお威張りで言ってます。・・・なんでそんな威張ってるんですか?
「まぁ、お前の実力もしりたいしお前がよければ一緒に旅をしないか?」
龍魔さんも何やら僕を勧誘してきました。
「別にやることもないんで構いませんが、神児さんが頭なんですか?」
「まぁ、そういう事になってるかなぁ。」
なんで龍魔さんじゃなくて神児さんなんだ?とりあえず聞いてみる事にする。
「なんで神児さんじゃないんですか?」
「それは、俺がやりたかったからだ。でも飽きたから今日からお前が頭でよろしく。」
神児さんが僕を指さして言う。そんな適当だったのか・・・。それより何故僕が頭?
「いえ・・・龍魔さんとかの方が適任じゃ・・・。」
「俺はそういうの嫌いだからパス。だからお前が頭な。」
龍魔さんも結構適当な人だったんですね・・・。
「そういえばお前の名前は?」
龍魔さんが僕を見て言う。・・・・そういえば名前すら聞かれてなかった。まぁ僕も聞いてないんだけど。本当に適当な方たちだ。
「僕の名前は河井秋凪です。よろしくお願いします。」
僕は一応初対面なので丁寧に名乗っておく。
「藤堂龍魔だ。龍魔って呼んでいいぞ。」
龍魔さんもそれなりに丁寧に名乗ってくれた。
「・・・白雲神児。」
はい?・・・それだけですか。そうですか、はい。もう僕はあえて突っ込みません。
「ちなみに神児はたぶんこの中で一番強いぞ。それでいて頭も神的天才だ。まぁ・・・ボケてるがな。」
「ボケてないぞ。無駄な労力を使わないだけだ。」
いえ、ボケてます。てか一番強くて天才なんて認めません。
「そいで、秋凪隊長。どこに向かいます?」
龍魔さんが僕に聞いてくる。てかいきなり頭にされて行き場所なんて決められません。
「えっと・・・神児さんはどこに行く予定だったんですか?」
「西。」
えっと・・・西?なぜに西?てか行き先は西しか決めてなかったとか・・・まさかね。
「なんで西なんですか?というか西のどちらへ?」
「だから西。かの三蔵法師と愉快な仲間たちも西を目指し数々の面白出来事に遭遇したと本に書いてあった。つまり西に行けば面白可笑しなイベントが多数用意されているということだ。」
・・・・面白出来事?面白可笑しなイベント??意味がわかりません。てか三蔵法師さんたちは、西にあるという天竺を目指し、数々の苦難を乗り越えて旅をした偉い方ですよ?なんですかその個人的解釈は・・・。
「・・・とりあえずじゃあ・・・西に行きますか。」
僕は疲れたのでそれで解決したことにする。というかこのまま話していても進展は得られなそうなのであきらめました。
「よし、じゃあ新たな面白い出来事を探して旅立つぞ。」
神児さんが一人張り切って・・・いえ、ハシャイで歩き始めました。そして、その後ろに僕と龍魔さんがついていきます。
僕の旅は・・・とりあえず始まったようです。
これからをおおいに心配しながら・・・・・。


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