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    長編小説

~Anoyher World~


僕がオールラウンド部に入部してから、1週間くらいが経ったと思う。
オールラウンド部の活動は・・・・・一切ない。・・・・・本当にないんです。
「あの、神児さん。僕たちって、部活の活動しないんですか。」
「ん?めんどくさい。それに、する事ない。」
神児さーん!どうしてあなたは・・・・。
「する事がなければ、探しにいくとかしましょうよ。」
「そのうち、向こうからやってくるよ。」
きません。やってきません。どんな理屈ですか。この間、龍魔さんが僕に教えてくれたことなんですが、神児さんはなんと、IQが200以上の神がかった天才らしいんです。しかも、運動神経も抜群の部類にはいるとか。しかし、僕にはどう見てもやる気のないボケた人にしか見えない・・・。
「可奈子さん。なんとかしてくださいよぉ。」
「よしよし、いじめられたのね。私の胸でたんとお泣き。」
「僕は赤ん坊じゃありません!何ですかその扱いは。酷いじゃないですか。」
可奈子さんまでこれだ。いったいこの人たちって・・・・。可奈子さんはオールラウンド部の集団の中でも、ずば抜けて正常人だ。僕は生きてるうちに、ずば抜けて正常なんて言葉を使うとは思わなかった。てか、そんな言葉を知るはずはなかった。
「はぁ・・・龍魔さん、僕は先に教室に戻りますね。」
「はいよ。気をつけてな。」
龍魔さんは、とっても優しいです。喋り方は荒っぽいけどね。そして、集団の中で一番正常な人。
僕は一週間で、いろいろとこの人たちを知った気がする・・・・。でも、優希さんのことだけは何もわからない。てか不思議な人過ぎです・・・。



僕が教室に戻ると、教室は大騒ぎだった。
「何かあったの?」
「あったもなにも、人が屋上で飛び降りようとしてるらしい。」
ぁあ、僕はなんてヒドイ人なんだ。人一人の命が掛かってるのに、少し喜んでしまった。やっときた部活の活動のチャンスだと。
「それは大変だ!先生は?僕、ちょっと行ってくる。」
「おい、先生が屋上に溜まっていて行けないぞ。」
そんなの承知の上ですよ。オールラウンド部の皆さん、活動のチャンスですよ!
僕は全速力で部室に向かった。
僕が部室に着くのに、たぶんいつもの半分以下の時間しか経ってないほどの早さだった。
「皆さん、部活動です。人が屋上から飛び降りようとしているらしいです。助けましょう。」
僕は必死でみんなに話した。そう、必死で。
「ふーん。」
ぇえ!ヒドイ。神児さん、人一人の命が掛かってるんですよ!普通なら慌てる大事件ですよ。
「えっ?何それ!大変だ。秋凪くん、一緒に見にいこうよ。」
・・・・・可奈子さん。もの凄く楽しんでいる様に見えるのは、勘違いでしょうか?人が死にそうなんですよ、何で嬉しそうなんですか?さっきの正常人という言葉は訂正します。この人も駄目だ・・・。
「人の死は、神に決められた運命の架け橋の最終地点。それは、そのモノの、生の役目が終えられた時のみたどり着く場所。そっとしておやりなさい。」
意味わかりません。優希さん、あなたはなんでそんな落ち着いているんですか。
「龍魔さーん。どうしましょう。」
って、寝てるし!駄目だ、この人たちーーー!なんなんですか、本当に。動く気配まったくないし。ちょっと、ヒドすぎですよ。
「わかりました。僕は一人で説得に向かいます。」
とりあえず、僕だけでもやってみよう。やれる事を全部やろう。


僕は、屋上へと続く階段に来ていた。しかし、階段には何人もの先生がいて、とても屋上へいける状況じゃなかった。
「どうしよう。・・・なんか良い方法は・・・・・・・・あった。」
屋上へと続く階段の横の壁に、窓ガラスがあるじゃないか。普通の人なら絶対にとどかないほどの高さにある窓、たぶん10メートルくらいの高さにある窓だ。
僕ならとどく、昔、おじいちゃんに妙な特訓をさせられたしね。
僕は迷わず窓に向かって跳んだ。誰かが見てたらきっと、忍者とか思っただろう。なぜなら、妙な特訓とは忍者の特訓だからだ。今思うと、本当に意味不明な特訓だ。まぁ、とりあえず僕は屋上へ侵入することに成功。
そして、僕の目に映ったのは、今にも飛び降りそうな女子生徒と、それを必死に説得する先生たち。
「キミ、そんなことしちゃ駄目だよ!」
僕は思わず叫んでいた。
「なんだね、キミは。どこから入った。」
先生が僕を睨んでくる。
「こういうことは大人よりも同世代の僕の方が良いかもしれません。僕にも説得を手伝わせてください。」
僕は必死で先生を説得する。自殺しそうな人を目の前にして、なんで先生を説得してるんだろう・・・なんて考えてる場合じゃない。
「少し、僕と話そうよ。」
僕はとりあえず、女子生徒の気を惹こうとした。
「うるさい。話しかけるな!」
どうしよう・・・さらに気を悪くしたかな?やっぱドラマのように話は進んでいかないか。
どうしよう・・・・・・。こんな時にオールラウンド部の人たちは、何をしてるんだろ。本当に何もしない気なのかなぁ・・・・。
「苦戦してるねぇ、秋凪くん頑張れー。」
あっ!可奈子さんの声だ。やっぱり来てくれたんですね。
「可奈子さん。来てくれたんですね!って、なんですか!?そのお茶とお饅頭とシートは。それに、皆さんそろって何をくつろいでいるんですか!」
少しでも喜んでしまった僕の負けです。この人たちは本当に・・・・。なんか完全に見物客だ。シートの上でお茶を啜りながら、お饅頭を食べてるし・・・・いったい何しに来たんだろう。
「とにかくです、まずは落ち着きましょう。」
僕は皆さんを無視して、説得に戻る事にした。
「うるさい、うるさい!!」
駄目だ・・・完全に頭に血が上ってるよ。
「死ぬのなんてやめようよぉ。もっと楽しく生きよう。」
ぁあ、やっぱり何だかんだいって、説得にきたんですね。可奈子さんはやっぱ良い人だ。
って!・・・寝転がって本読みながら言ってるし。こっちなんて、まるっきり見てない。可奈子さん、僕も飛び降りたいよ・・・・。
「お前なんかに説得される筋合いねー!うるさいんだよ。」
ご尤もです。僕があなたでも確実にそう思うでしょう。あんなのに説得されたくないです。
「とにかく、飛び降りるのはやめようよ。ちゃんと話し合ってさ。僕も力になるから。」
「知ったような口をきくんじゃねぇー!」
僕じゃ駄目かもしれない・・・・どうしよう。僕の話、全然通じないよ。
「ちなみにココから飛び降りても死ねないよ。」
ん?いま、また何か不思議なことをいいました?神児さん、あなたは何を思いついたんですか?
「もう下には、先生がマットを持って準備万端。それにこの距離なら龍魔が瞬時に懐に飛び込める。キミが飛び降りたところで、龍魔がそれをダイビングキャッチ。そのまま龍魔の身体能力なら、空中で姿勢を整え見事着地。悪くて龍魔の足骨折、良くて二人とも無傷。」
ひどい話だ。それが本当なら、僕の苦労はまったくの無意味。あの人たちは本当に意味がわかりません。
「そんなの知るか!」
あっ!ちょっと、ぁあ、本当に飛び降りちゃったよ。どうするんですか、神児さん。
とか考えてるうちに、下のほうから何かが落ちた音が聞こえてきた・・・・。
「神児さん!あなたって人は・・・・・」
僕はあまりの無力さに涙が出ていた。
「あー、神児が秋凪くんを泣かしたぁ。」
こんな時まで可奈子さんは無邪気だ・・・。
「おぉーい、死傷者ゼロで大成功だぞぉ。」
どこからか、龍魔さんの声が・・・幻聴が聞こえるなんて・・・・龍魔さんの声?そういえば、神児さんが何か言ってたような・・・。
「おぉー大成功かぁ。やったねぇ。」
可奈子さんが地面の方を見ながら、誰かと話してる。
「龍魔さん。無事なんですかー!」
僕も地面の方を見た。そこには笑顔で立っている龍魔さんと、泣いている女子生徒、そして先生たちがいた。泣いている女子生徒は、自殺未遂をした人だった。神児さん、これを狙ってたんですね。
「みなさん、ここまで計算していたんですね。」
「計算なんて初めからないぞ。俺と可奈子と優希は、とりあえず見物に来ただけだしね。なんか、龍魔が俺なら助けられるかもとか、かっこいいこと言うからそれを見に。」
・・・・龍魔さん流石です。そして、僕はここにいる三人を突き落としたいです。
「それは言わない約束でしょ。」
「そういう問題じゃありません!なんなんですか。もっと事の重大さを理解してください。僕は今、決めました。可奈子さんと神児さんと優希さん、あなたたちは明日までに、明日以降の部活動の内容を考えてくるように。部活動の内容の条件は、人様の役に経つ事です。」



翌日、僕は朝早くから学校にきたんだけれど・・・・・部室は、鍵がしまっていて入れない。
神児さんたちは、どこを探しても見つからないし、何も思いつかなくて逃げたのか?とか少し思ってみたりしている。
そのままお昼休みの時間になってしまって、僕はとりあえずお弁当を食べていた。
ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン
放送の音が聞こえた。
そして、すぐに聞き覚えのある声が僕の耳に入った。
「私はオールラウンド部の浅倉可奈子です。この度は、重大発表があります。オールラウンド部は名前を改め、地域防衛部になりました。活動内容は地域を悪の手から守る事です。その名誉ある部活のメンバーを発表します。まず、地域防衛部隊長は白雲神児。彼には部の指揮指令などをやってもらいます。次に、地域防衛部副隊長は藤堂龍魔。彼には隊長の援護また隊員への直接命令をしてもらいます。次に隊員は私、浅倉可奈子を初め、上条優希、河井秋凪です。」
なんで・・・・・・・なんで・・・・
「地域防衛部では、東校舎3階、つきあたりの教室に基地を設け、そこにポストを設置しました。何か助けが必要な時は、遠慮なく活用してください。」
こんな馬鹿な事しか・・・・・しないんだ・・・・・。もっとまともに部活が出来ないのか・・・・・?
「なお、名前などの記入は自由にしてください。ちなみにイタズラなどを見つけた時は、犯人を突き止め息の根を止めます。」
僕はなんて馬鹿なことをしたんだ・・・・なぜ昨日、あんな事を言ってしまったんだ・・・・。
「地域防衛部の皆さんは、放課後に決めポーズの練習、衣装合わせがあるので帰らないように。」
帰りたい・・・心の底から帰りたい・・・・。

本当に僕はこのままどうなってしまうんだろう・・・・僕の人生はもう終わりなのかなぁ?


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