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    長編小説

~神の異名~

学校も終わり、今日は浩介と紫呉の2人は和真の家に泊まりに行く事にした。
「いやー、紫呉と和真がいれば安心だよ。」
浩介は紫呉と和真に向かってありがたそうに顔の前で手を合わせる。
「何をそんなに安心してるのか知らないが、俺はもし本当に悪魔とやらが出てきてもなんの対処も出来ないかもしれないんだぞ。」
紫呉はあっさりと言ってのける。
「紫呉が何もできないイコール俺も何もできないと言っていいだろうな。」
和真もあっさりと言う。
「・・・・不安になるようなこと言うなよ。」
浩介は顔を蒼くして言う。
「まぁ、今回は初めから状況把握と敵の視察が目的だしな。」
和真が一言付け加える。
「・・・そう言ってもなぁ。」
浩介が不安そうに言う。


*2*

3人が和真の家に着いて和真の親に挨拶などを済ませる。
3人はさっそく和真の部屋に入っていった。
「・・・今思ったんだけど状況把握なら俺の家のほうが良かったんじゃ?」
浩介が疑問そうに言う。
「そこが一つの狙いだ。」
紫呉はそれだけ言う。
「へっ?どういう意味?」
浩介がすぐに聞き返す。
紫呉はわからないのかと言わんばかりの顔をして一度大きく息を吐いて話す。
「まず何故今回、和真の家にしたかというとだな、それは浩介の家じゃなくてもお前が言うような怪現象が起きるのかということを調べるためだ。
ついでに言っておくがもし怪現象が起きた場合、狙われるのは浩介だけじゃなくなる。恐らくここにいる3人全員が標的になるはずだ。」
紫呉が淡々と意見を述べた。
そして、和真が紫呉に聞く。
「・・・その3人が標的になるってのはなぜだ?」
「それについては俺はこう推理している。
怪現象とはけっして人に知られてはならないものだ。つまりもし怪現象を誰かに与えるとする、その与えられた奴は殺される事がほとんどだからあまり気にしなくていい。しかしその過程でその友人などが一緒に怪現象を見てしまったとき怪現象が世に広がってしまう可能性が出てくる。だから怪現象ってのはその怪現象に触れた者などを巻き込む性質がある。」
紫呉が和真の質問に淡々と答えた。
「・・・なるほど。」
和真は納得したようだった。
そして、その言葉を最後に紫呉は眉をよせて何か考え込んでしまった。
和真もそれを見て黙り込む。
時間だけが静かに過ぎていく。
「ねぇ・・・。」
堪りかねて浩介が2人に話しかける。
「・・・・・・」
2人とも沈黙。
また3人とも黙り込む。
コチッ、コチッ、コチッ、・・・・・・・・・・・・・
時計の音がやけに響き渡る。
「・・・・もうすぐ2時だね」
浩介がそう呟く。
コチッ、コチッ、コチッ、・・・・・・・・・・・・・・・・・
また、黙り込んであたりが静かになる。
コチッ、コチッ、コチッ、コチッ・・・・・・・・・・・・・・ガタッ・・ガタッ
突然、時計の音に混ざって妙な音が聞こえてきた。
「えっ!?」
浩介が突然の出来事に飛び上がる。
「・・・・きたか。」
紫呉は一言いうと何かを準備し始めた。
ガタッ、・・・・・ガタガタッ、ガタ・・・・
音は窓からで容赦なく聞こえてくる。
「・・・これはキツイは・・・」
和真が顔をしかめてそう呟く。
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
音が突然、勢いをました。
「!!」
浩介がそれにビビって腰を抜かしてしまう。
和真もかなり焦った顔を見せる。
「おい紫呉、なんとかならないか?」
和真はそういって紫呉の方を見る。
紫呉は一人黙り込んで椅子に座っている。
ガタガタガタ・・・ガタッ・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
音が突然なくなった。というよりもあたりが急に静かになった。
その瞬間、今まで音が聞こえていた窓のカーテンがひとりでに勢いよく開いた。
「なっ!・・・」
浩介と和真が驚いて窓を凝視した。
ナニモイナイ・・・・・マドニハナニモナイ・・・・
ホッと安堵の息をついた時だった。
部屋の中一面に凄まじい気配と獣の匂いが充満した。
しかもそれは一つじゃない。ありとあらゆる物陰から何匹も何匹もの気配があった。
匂いはさらに充満していき部屋は一瞬にして和真の部屋で和真の部屋じゃなくなった。
そして今度は獣が動き回る音が当たりに響き渡る。
「なっ・・・なんだよこれ!」
浩介が叫ぶ。
「なっ・・・おいヤバイって!!」
和真もすでに正気を失って混乱していた。
ガチャンッ
突然ドアが開く。
そこには和真の親が立っていた。
「へっ?」
和真と浩介が気の抜けた声をだす。
「えっと・・・それでなんです?」
和真の親が紫呉に話しかける。
「あっ、やっぱりなんでもなかったみたいです。」
紫呉がそう一言いうと和真の親は少し不思議そうに去っていった。
「・・・・・?」
和真と浩介はまったく理解できていないようだった。
「あれ?さっきまでの匂いや気配が消えてる。」
和真が気づいて呟く。
「あっ・・・本当だ。」
浩介もそれに気づいて呟く。
「どういうこと?」
和真がすかさず紫呉に聞く。
「簡単なことだ。浩介に昨日あった事を聞いてもしかしたらと閃いたんだが、昨日浩介は怪現象が起こっているとき突然和真が入ってきてその瞬間に怪現象はぱったりと姿を消したと言った。だから怪現象の最中に誰かが部屋に入ってくれば怪現象は消えると考えたんだ。それと、これはほとんど運だったんだが怪現象が起きるとしたら2時頃だろうと予想して2時半くらいに和真の親に部屋に来るように頼んでおいた。」
紫呉が和真の質問に答えた。
「ははっ・・・さすが神の異名をもつ方だ。」
もう安心とわかったとたんに和真は気が抜けてその場に倒れこむように座り込んでしまった。
浩介はもう放心状態のようでその場に座り込んだままボーっとしていた。
「だが、本当の勝負はここからだぞ。」
紫呉が真剣な顔つきで言う。
「へっ?」
和真は気の抜けた声で聞き返す。
「・・・・今日はもう休むか。」
紫呉は呆れて大きな溜息をついてそう言うと話を打ち切った。


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